ベネズエラのマラカイと言う都市で彼女の父親が撃ち殺される

ベネズエラのマラカイと言う都市で彼女の父親が撃ち殺される

突然のメール

その日、いつもの様に彼女が起きた。

私はいつも彼女に「行ってらっしゃい」と見送り二度寝をする。

そんないつも通りの朝にいつも通りじゃないメールが届く。

彼女が携帯を見て私にこう告げた。

 

「お父さん死んだって」

 

あまりに唐突な話で理解が追いつかない。

どう言うことか状況を確認する。

彼女もまだ状況を把握していないらしくメールの送り主に電話をかける。

昨晩パーティーからの帰り道、強盗に拳銃で撃たれ死んだらしい。

彼女の父親は常に現金を持ち歩いていたので、それを狙って襲われたのではないかと話していた。

何とも言えない表情の彼女。

「なんか不思議な感情。悲しくもないんだけど心に穴が開いた感じ。」

そういってベットに横になった彼女の目からは涙が流れていた。

彼女とお父さんは仲が悪かった。

数ヶ月前にも殴り合いの喧嘩をしてお父さんをナイフで切りつけた上に警察送りにしたという話も聞いていた。

それから事あるごとに「あいつ死んで欲しい」なんて悪びれていた。

しかし実際に死んでしまうと後悔の方が大きかったようだ。

「私が死ねって思ったから死んだのかな」と聞かれたが『そうじゃないよ』と気の利いた返事もできなかった。

しばらくして彼女は試験に行くと言い出した。

 

『父親が死んだのだから今日は休んだ方がいいよ。』

「今日は大事な試験だから休む事は出来ない。」

 

そして学校に行ったが数十分もしないうちに戻って来た。

教師から「また別の日に試験をするから今日は帰りなさい」と言われて帰ってきた。

葬儀の準備

『少し休んだら?』と勧めると、「葬式の準備をしなければいけない」と電話をかけ始めた。

彼女の母親は既に別の家庭を持っており、子供は彼女一人なので喪主を務めなければならなかった。

更に親族に金銭的余裕がないため全ての費用を彼女が支払う必要がある。

彼女の父はマラカイという街で亡くなった、私たちが居るのはメリダという街だ。

遺体をこっちに運ぶかマラカイでに彼女が行くか悩んだあげく諸処の事情によりマラカイで葬式をする事になった。

その時私は2つの選択肢を考えていた。

1つ目は彼女の帰りをメリダで待つ。

身内だけの葬式に彼氏が行って良いものか、彼女の親族は今まで従姉妹にしか会った事が無い。

またマラカイという街が非常に危険な都市なので出来れば行きたくない。

2つ目は彼女と一緒にマラカイに行く。

気丈に振る舞っているが血のつながった父親が亡くなったのはどう考えてもショックが大きいだろう、もし私が逆の立場だったら誰かに支えて欲しいと思う。

数秒考えたが、どう考えても後者だ。

『着いて行こうか?』>と尋ねると「私の家族みんなクレイジーだけどそれでも良かったら」と言われた。

こうして急遽マラカイ行きの準備をする事になった。

事件の詳細

時刻は夕方だったが、彼女曰くマラカイ行きのバスは夜の9時まである。

準備をしていると最初にメールをくれたおばさんから事件の詳細の連絡が来た。

彼女の父親は強盗に襲われて抵抗したから撃たれたのではなかった。

当初、強盗はナイフで彼女の父親を襲ったが、逆にそのナイフを奪い強盗を撃退したのだという。

それに腹を立てた強盗が拳銃を手にして戻って背後から彼女の父親を撃った。

そして強盗は何も奪わずそのまま逃げていった。

これが事件の真相だという。

それを聞いた彼女は「結局死ぬまでお父さんからは誰も何も奪えなかったんだ」と少し微笑みながら泣いていた。

父親との思い出

夜の7時、マラカイ行きのバスに乗り込む。

バスの中で葬儀屋から電話があった。

「病院の死体安置用の冷房が壊れているから死体が腐敗する可能性があり、もし腐敗状況が酷ければ葬儀は出来ずそのまま土葬になる。」

「問題なく葬儀が出来る場合はシャツが血まみれなので、そっちで新しいシャツを用意してくれ。」

そんな淡々とした業務連絡だった。

彼女はバスの中で父親との思い出をいくつか話してくれた。

そうして話しているうちに父親が本当に彼女を愛していた事に気付い「気付くの遅過ぎたね」とまた泣いた。

彼女の父親はそれはやんちゃな人だったという。

どれくらいやんちゃかと言うと若い頃からガッツリ悪の道を進んで20代前半には街に出回っている麻薬や拳銃を全て掌握しきっているくらいやんちゃだった。

彼女の母親と出会ってからもその仕事を続け結婚後に逮捕されたが刑務所の中から指示を出して、全てコントロールしておりマラカイの街でその名前を知らない人はいないくらい有名だった。

そして20代後半で再度逮捕され刑務所に行く訳だがその時に妊娠している事を聞かされる。

それがケニアだ。

子供が出来た事によりその世界から足を洗う事を決め、出所後は一切その仕事に手を染めなかったそうだ。

ただ父親が有名になり過ぎたが故に彼女は幼い頃から周りの子に避けられ、それが原因で父親嫌いになってしまったという。

生前の彼女の父に会う事はなかったのだが、彼女の話から彼女の父親は頭が良く腕っ節が強かったという事がうかがえた。

彼女の悲しみの深さを知る事は出来ないが、一緒に寄り添う事は出来る。



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