ベネズエラで生まれて初めての心霊体験

ベネズエラで生まれて初めての心霊体験

謎の症状

彼女の父親は隣の部屋に安置されている。

私は無神論者だし幽霊や心霊現象も一切信じない。

死後の世界は人間が望むから信じられているだけだ。

死んだらただ無になる。

その日までそう思っていた。

しかし通夜の晩に起こった出来事は今でも鮮明に覚えている。

耳障りな鼻歌、激しい寒気、身体の緊張。

頭の中で音が鳴り響き、体の震えが止まらず、全ての筋肉が収縮している。

今まで感じたことのない不快感を味わっていた。

不思議な現象

時計を確認すると2時半をまわったところだ。

目を閉じるが、なかなか寝付けない。

20分くらい経過しただろうか。

耳鳴り、寒気、緊張は一向に収まる気配がない。

この苦しみから開放されたいと切に願い、信じていない神にすがる。

 

BAN
神様、この苦しみから開放して下さい!
誰か
時間逆行する?

 

どういうことだろう。

誰かが直接脳内に話しかけてきた。

目を開けて時計を確認すると2時半をまわったところだ。

 

BAN
時間が戻った!?

 

少し混乱したが、また目を閉じてその声の主に集中する。

謎の声

誰か
君には2つの選択肢があるよ。今の記憶を保持したまま過去に戻ってやり直すか、このまま君の人生を続行するか。
BAN
記憶を持ったまま過去に戻れるんですか?
誰か
うん、でも彼女の記憶は一切消させてもらうけどね。
BAN
それは莫大なチャンスと彼女を天秤にかけろって事ですか?
誰か
そうだね。

 

これはただの夢かもしれないが、本当の事かもしれない。

科学では証明できない力というのは世の中に存在する。

ひょっとしたら今がそんな力を体験するチャンスなのかもしれない。

今の記憶を持ったまま過去に戻ることができれば何者にでもなれる。

有名人でも大富豪でも影のフィクサーにだってなる事は可能だ。

そして考えた。

彼女を捨てて絶好のチャンスを物にするか、彼女を選んでチャンスをふいにするか。

結果一つの案が閃いた。

ここで過去に戻るという選択をしてただの夢だった場合、彼女には「こんな夢を見たんだけど僕は君を選んだよ」と嘘をつけばいいじゃないか。

すると謎の誰かがこう言った。

 

誰か
本気で望まないと無理だよ。

 

本気で望むというのは、過去に戻りたい気持ちが彼女と一緒に居たい気持ちよりも強い必要があるのだろう。

しかし一抹の不安もあった。

数十年前の記憶なんて詳細まで覚えていない。

その誰かに尋ねる。

 

BAN
過去に戻ったら今までの出来事を文字で確認することも可能ですか?
誰か
いいよいいよ、その機能もつけてあげる。

 

仕方なさそうに返事が返ってきた。

完璧な機能じゃないか。

そんな能力があるなら世界を牛耳ることだって出来る。

一気にテンションが上がる。

しかし彼女とは一生会う事も出来ないのなら、こんなに人から愛される事も一生無いのだろう。

しかし記憶が無ければ悲しくもないし寂しくもない。

ただ1人ゲームを楽しんで孤独に死んで行くのも悪くない。

 

誰か
ただ過去に戻ったら死ぬ間際に彼女との記憶復活するけどね。

 

なんてことだ。

究極の選択

世界の全てか、それともたった1人の女性か。

簡単な様でここまで難しい選択はない。

今までも人に愛されてると感じたことはあったが、彼女から感じる様な深い愛を感じたことはなかった。

彼女にここまで愛されていなければ秒速で過去に戻る事を選んだだろう。

過去に戻ることができれば世界を手に入れて、全て自分の思い通りに生きることが出来る。

 

なんて事も考えていたが、私は彼女と共に生きる事を選んだ。

未来なんか分からない方が面白いし、もっとドキドキ出来る。

彼女が側にいてくれるならどんな事があったとしても楽しめるだろう。

そんな決定をしたのにも関わらず、また声が聞こえてくる。

 

誰か
君が彼女と出会わなければ彼女の父親が亡くなる事も無かったかもしれない。
BAN
・・・
誰か
父親が亡くならなければ、彼女と父親は関係を再構築する時間があったんじゃないか?
BAN
・・・
誰か
本当に彼女の気持ちを考えているのか?

 

そう言われて戸惑った。

父親と私

彼女は父親ともっと話をしたいと望んでいた。

彼女は凄く大切な存在だ。

だからこそ幸せになってもらいたい。

私の代わりはいくらでも居るだろうが父親の代わりになる人なんて居ない。

しばらく悩んでいるとある考えが浮かんだ。

 

BAN
彼女にお父さんか私のどっちかを選んでもらおう。

 

しかし数秒考えて愚策だと気付く。

もし彼女が父親を選んだら後悔せずに素直に引く事が出来るのだろうか。

多分出来ない。

そして逆に私を選んでくれたとしてもそれが彼女の本心なのか分からない。

自分が選択出来ないからと彼女に選ばせて責任逃れしようとしているに過ぎない。

 

またしばらく考えていると天才的な閃きが来た。

1週間前に戻って彼女に父親の死を忠告すれば父親も亡くならずに、私も彼女と一緒に生きていく事が出来る。

しかしこの方法は無理があった。

なぜなら過去に戻る前提条件として彼女に関する全ての記憶と出来事は抹消される。

1週間前に戻った所で私はどこか別に国にいて、ただ旅を続けているだけだろう。

 

私は真剣に「私の人生」と「彼女の人生」を考えた。

声の正体

しばらく考えた結果、私は彼女と生きていくという道を選んだ。

するとまた声が問いかけて来た。

 

誰か
君は彼女を幸せに出来るのか?
BAN
します。
誰か
君は彼女の事を一生守っていけるか?
BAN
守ります。
誰か
私よりも彼女を愛する事が出来るか?一生愛せるか?
BAN
出来ます。一生愛します。

 

するとさっきまでの耳鳴りや寒気、金縛りが無くなり嘘の様に身体が楽になった。

あれ、これって何だったんだろう。

そして最後の質問の意図を考えてみた。

声の主は彼女の父親だったんじゃないだろうか。

ちょっと不思議な気分だった。

そして事のすべてを彼女に告げると「お父さんもよく鼻歌唄ってた」と言い、「この家よく霊が出るらしいから本当にお父さんだったのかもね」と少し笑いながら言った。

 

未だに私は幽霊など信じていないが、この出来事は彼女の父親が私に彼女を託しても大丈夫か聞きに来た様な気がしてならない。



ブログランキングに参加してます。
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓

にほんブログ村 旅行ブログ 世界一周へ
にほんブログ村
応援のワンクリックお願いします。


See you again.

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

Twitter で